私は今までに、恋愛、ミステリー、クラシック、闘病、ファンタジーなど、洋書60冊以上読みました。

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20200309難読洋書
1週間程度で読み終わるものもあれば、半年以上かかってさらにネイティブに解説をしてもらってようやく読みきったものもあります。

難しい本は読むのが大変ですが、語彙力や読解力もつき、読み終わった後の達成感は簡単な本とは比較にならないほどあります。

今回は私が読んだ中で特に難しかった10冊をランキング形式でご紹介します。語彙の難しさやおすすめポイントを星の数で表した、難易度解説もつけますので、参考にして下さい! 


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#10 The Hobbit by J. R. R. Tolkien

ページ数:285 
語彙レベル:★☆☆☆☆
言葉の堅さ:★★★☆☆
文法難易度:★★☆☆☆
異世界情緒:★★★★★
総合難易度:★☆☆☆☆
語彙も文章の構造もさほど複雑ではなく、英語としては簡単です。ファンタジーというジャンルは文字情報だけで、異世界を頭の中に再現しなければならないため、私にとっては難易度が高かったです。
"The Load of the Rings"(ロード・オブ・ザ・リング)の一つ前のお話。ホビット村に住むビルボは、不本意ながらも小人(ドワーフ)達と共に竜の棲む「はなれ山」へ向かい冒険の旅に出る。

いやいやながら始まった旅だったが、数々の試練を乗り越え、心身ともに成長していくビルボ。最終的には仲間達と力を合わせて困難に立ち向かう立派な青年に。

元々児童文学として書かれた作品なので、登場人物の名前や地名を覚えてしまえば難しくはないです。ただ私にとってのはじめてのファンタジー洋書だったので苦労しました。

映画もありますが、洋書を先に読んで理解度を試すという挑戦の仕方もアリです!

邦訳版『ホビットの冒険』

#9 Life on the Refrigerator Door by Alice Kuipers

ページ数:240
語彙レベル:★★★☆☆
言葉の堅さ:★☆☆☆☆
アメリカの生活を感じられる度:★★★★★
切ない度:★★★★★
総合難易度:★☆☆☆☆〜★★★★☆ 
物語の全てが冷蔵庫の上に書かれたメモのやり取りで構成される、変わったスタイルの小説。母娘のメモだけで物語が進んでいくため、言葉の省略は当たり前で、英会話に慣れていない人には難しいと思います。逆に英会話に慣れている人にはとっても簡単で、1日で読み終えてしまうことも。
看護師として働き時間が不規則な母と、15歳の娘クレアの会話はもっぱら冷蔵庫の上のメモ。母一人娘一人の家庭で、お互い日々の出来事や、必要な連絡をメモでこなす。

そんなある日、母が癌に侵されていることを知る。治療に専念するものの徐々に悪化していく病状。

メモからにじみでる、仕事優先で子供にちゃんと向き合ってこなかった後悔、弱っていく体に対する恐怖、子供の将来への心配。死に向き合う母娘の会話が生々しく、切ないです。

物語の構成ももちろんですが、内容も心が元気でないと読みにくい、という意味で難読書です。

邦訳版『冷蔵庫のうえの人生』

冷蔵庫のうえの人生


#8 The Vow by Kim & Krickitt Carpenter with Dana Wilkerson

ページ数:180
語彙レベル:★★☆☆☆
言葉の堅さ:★★☆☆☆
文法難易度:★★☆☆☆
キリスト教学べる度:★★★★☆
総合難易度:★★★☆☆
語彙・表現に極端に難しい部分はありません。ただKrickittが事故に遭うシーンの状況が所々わかりにくいのと、作者が敬虔なクリスチャンのため、キリスト教の教えについて多少なり表現を知っていないと良くわからない部分があります。
大きな交通事故に遭い、一命を取り留めたものの記憶に障害を負ったKrickitt。夫のKimとの記憶を全て失ってしまう。Kimは事故後も変わらずKrickittへの愛を貫き、やがて二人はまた夫婦となる。

映画のような話ですが、実話です。自分との記憶を全て失ってしまった妻に対し、絶望を抱きますが、何があっても愛し続けるということを態度で示し続けたKim。すごいです。

後にレイチェル・マクアダムスとチャニング・テイタム主演で映画化されました。
映画『君への誓い』

#7 Ocean's 11 by Dewey Gram

ページ数:248
語彙レベル:★★★★☆
言葉の堅さ:★★★☆☆
お気楽度:★★★☆☆
スリル度:★★★★★
総合難易度:★★★★☆
ダニー・オーシャン率いる窃盗団の11人の名前を覚えることから始まり、カジノにまつわる表現もたくさん覚えないといけません。248ページの割にはかなり読み応えがあります。
窃盗犯ダニー・オーシャンが4年に渡る刑務所暮らしで立てた計画。ラスベガス3大カジノの現金が集まる巨大金庫の襲撃作戦。この計画のために集まった史上最強の11人の犯罪者集団。

しかし完璧に思えた計画も、メンバーそれぞれがちょっとずつ見栄を張ったり、ほんの少しの気の緩みから綻んでいく。首謀者ダニーの前妻に対する未練も、計画をますます危ういものにしていく。ハラハラドキドキの窃盗劇。

英検2級に合格した後、初めて挑戦した洋書です。わからない単語をセミB5ノートに書き込んでいったのですが、50ページ読んだ時点でノートがいっぱいになりました。英検2級を持っていても難しく、途中で1年ほど休憩を挟んでから、ようやく読み終えることが出来ました。

邦訳版『オーシャンズ11』

オーシャンズ11 (新潮文庫)


映画版『Ocean's 11』

#6 The Sun Gods by Jay Rubin

ページ数:359
語彙レベル:★★★★☆
言葉の堅さ:★★★★☆
お気楽度:★☆☆☆☆
感動:★★★★★
総合難易度:★★★★☆
キリスト教の用語やかしこまった言葉も多く、語彙は難し目です。
太平洋戦争直前のアメリカ。牧師の息子・ビリーは、父の再婚により日本人ミツコが母親となる。

そして開戦により日本人は日系人収容所送られる。ビリーは日本人の"母"と行動を共にし、アイダホの収容所へ。そこでミツコと生き別れたビリーは、大人になり、終戦後の日本へミツコ探しの旅に出る。

村上春樹の小説の翻訳者として知られる著者は、小説を書いても超一流。日本文化、日本人の考え方などに精通した彼ならではの鋭い観察眼で、日本人との交流をリアルに描いています。

戦争・宗教・文化の違い・言語学習・愛・憎しみなど、たくさんの要素が詰まっていて、圧倒されました。

邦訳版は『日々の光』

#5 The Crossing by Michael Connelly

ページ数:384
語彙レベル:★★★★☆
言葉の堅さ:★★★★☆
謎解き爽快度:★★★★☆
総合難易度:★★★★☆
犯罪モノだけあり、Fワード、警察・法律用語がたくさん出てきます。警察は男社会だけあって、スラングも多いです。
元ロサンゼルス市警の刑事・Harry Boschが、汚職警官と対決する物語。

私は基本的に人が死ぬ物語は苦手なので、ミステリーは英語・日本語問わず滅多に読まないのですが、このBoschシリーズは事件の手口や犯人の残忍さの描写は控え目で、純粋に謎解きを楽しめます。

片親の違う兄弟で弁護士のMikey Hallerと協力して事件を解決していくのですが、彼の才能は買っているものの全幅の信頼を置いているわけでもなく、その微妙な距離の取り方も刑事らしく面白いです。

しかし一匹狼というわけではなく、その手腕や人柄を評価している人物もおり、そういった人物からの協力も得ながら謎を解明していく様は見事です。

語彙の難しさは一般的なレベルですが、警察・裁判用語が頻出する上、その多くが頭字語で表記されている点が難しいです。※頭字語・・・頭文字をとって作った語。例えば"Los Angels Police Department"は"LAPD"と表記されています。

シリーズ物で、発売順は「The Burning Room」→「The Crossing」→「The Wrong Side of Goodbye」
です。個人的に、この三つの中では本作が一番面白いです。


#4 Belle by Lesley Pearse

ページ数:588
語彙レベル:★★★☆☆
言葉の堅さ:★★★☆☆
スリル度:★★★☆☆
主人公応援したくなる度:★★★★☆
総合難易度:★★★☆☆
1910年代のロンドンとニューオーリンズが舞台なので、その時代の様子を頭に思い描くことが難しかったです。
売春宿で育てられた15歳のBelleはある日、殺人事件の目撃者となってしまう。それによってBelleは何者かに拉致され、ニューオーリンズの高級売春婦にされてしまう。

理不尽な境遇においても、賢く誇り高く生きるBelle。彼女の勇敢な決断、様々な出会いや偶発的な出来事によって、故郷ロンドンへ帰る道筋が見えてくる。

500ページを超える洋書を初めて読んだので、最後まで集中力を切らさず登場人物の名前を忘れずにいるのが難しかったです


#3 The Bookthief by Markus Zuzak

ページ数:537
語彙レベル:★★★★☆
言葉の堅さ:★★★★☆
お気楽度:★☆☆☆☆
近代史勉強度:★★★☆☆
総合難易度:★★★★☆
まず死神の語りで物語が進むという点を知るのがポイント。さらに語り口もどこか癖があり、慣れるまで読みにくいです。
舞台は第二次世界大戦直前のドイツ。

貧しいながらも、心優しい里親に引き取られた少女Liesel。第二次世界大戦の開戦が迫る中、里親の仕事を手伝いながら穏やかな日々を送っていたある日、養父がユダヤ人の青年を家に匿ったことから生活は一変する。

Lieselが金持ちの家に本を盗みに入っても、それを見て見ぬふりをしていた貴婦人、ユダヤ人にパンを与えた罪を見逃したドイツ兵、殺伐とした戦時下でひっそりと息づく優しい心にはっとさせられます。

上にも書きましたが、死神のナレーションで進む物語は、語り口が独特で読みにくい上、537ページもある厚い本なので読むのは難しかったです。

映画版『優しい本泥棒』

やさしい本泥棒 [Blu-ray]



#2 The Princess Bride by William Goldman

ページ数:450
語彙レベル:★★★★☆
言葉の堅さ:★★★☆☆
構成の複雑さ:★★★★★
笑える度:★★★★☆
総合難易度:★★★★☆
おじいさんが孫に物語を読み聞かせるというシーンから始まるので、極端に難しい表現は出てこないはず。なのですが、作中に著者本人が出演したり、映画の撮影をしていたり、はたまたフローリンというネットで調べても出てこない地名が出てくるので混乱を極めました。
フィクションの中のフィクションという構成で、私にとっては初めてのジャンルだったので、読み進めても何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした。結局、Wikipediaの日本語のページで要約を読んで初めて読み始めることができました。

作中の『プリンセス・ブライド』は冒険・恋・友情、全ての要素を持ったお話。時々ギャグっぽいシーンもありWestlyを生き返らせるシーンは笑えました。

この本は洋書に大分慣れ、そろそろ読んだことのないジャンルの本を読みたくなった時、アメリカ人の友達にすすめられた本です。映画化もされ、アメリカでこの作品を知らない人はいないというほど有名な物語だそうです。

映画『プリンセス・ブライド・ストーリー』

▼この本のレビューは以前書きました


#1 Pride and Prejudice by Jane Austin

ページ数:367
語彙レベル:★★★★★
言葉の堅さ:★★★★★
表現の洗練度:★★★★★
総合難易度:★★★★★
1800年代初頭、イギリス上流階級の人々の話だけあり、言葉が非常に洗練されています。そのため、一見しただけでは皮肉なのか褒め言葉なのか理解しづらく、台詞の意図を汲み取るために何度も辞書で意味を調べ、読み直しをした箇所は数知れず。
心優しくも口下手で、傲慢な印象与えてしまうMr. ダーシーと、聡明で快活なエリザベス。舞踏会で出会った二人は、そのお互いの性格により第一印象は最悪。

関係を良くしようと試みるも失敗するMr. ダーシー。しかし、お互いを良く知るにつれ次第に惹かれ合う二人。

そんなもどかしくも優しい気持ちになれる恋物語です。

私が手に入れたのは、PENGUIN CLASSICSシリーズで、巻末に時代背景や物語をより理解するための解説がついています。

しかし洗練され過ぎて気づけなかった伏線や、一捻りも二捻りもとんちが効いて理解できなかった台詞が数多くあり、分からない歯痒さを感じ続けながら読み進めました。

何が起こっているのか理解できなさ過ぎて、時には孤独さえ感じました。

結局、知らない単語は全て意味を調べ、本に直接書き込み、それでも理解できない下りはアメリカ人の友達に助けてもらいながら半年かけて読み終えました。

▼Pride and Prejudiceについて以前書いた記事はこちら



総合的な難易度は、今回ご紹介した10冊の中で飛び抜けて高いです。挑戦者求む!

映画、ドラマと映像化もされていますが、台詞も雰囲気も原作により忠実なBBCドラマ版がおすすめです。
ドラマ『高慢と偏見』
DVD・Blu-rayの他、2020年3月現在Huluでも視聴可能です。

映画『プライドと偏見』

まとめ

以上、私が最も難しいと感じた洋書10選でした。

今回ご紹介した10冊の中には、難し過ぎて読むのを諦めようかと迷ったものもあります。でも最後には読んで本当に良かったと思う良い作品ばかりなので、少しでも面白そうだと思ったらぜひ挑戦してみてください。

ではまた。

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