私が英語学習を始めたのが16歳の頃。それよりずっと前の10歳から、筋痛性脳脊髄炎 [ME]という慢性病を持っています。

英語学習を始めた頃は、外国語が使えるようになっていくことが、純粋に楽しくて勉強を続けていました。

しかし、楽しいだけで続けていられたのは最初の5年間で、その後は持病の悪化もあり、苦しいことの方が多かったのも事実。
DSC04636慢性病やる気
それでも現在に至るまで、私が20年以上に渡って英語学習を続けていられるのは何故なのか、その理由を当記事にまとめます。

学習を続けている最大の理由…【生きるために必死】

私は中等症のMEがあり、日常生活に大きな支障がでるほどの症状があります

そんな病気を抱えていても、人として生きていく以上、お金を稼がなければなりません。MEというとてつもなく重いハンデがあるため、肉体労働はおろか、会社員という働き方は不可能です。

そのため、何としても在宅フリーランスとして働くための、「圧倒的に優れたスキルを身につけなければならない!」という思いが、学習を続けている最も大きな理由です。

MEを持っていると24時間365日、猛烈なだるさや頭痛、思考能力の著しい低下や、睡眠障害、体温調節機能の異常などなど様々な症状が付きまといます。

確立された治療法や治療薬もありませんし、いくら休んでも痛みや不快感がなくなることはありません。

高いスキルを身につけても、労働時間は極端に限られてしまうため、高単価で、なおかつ予定はこちらの体調にある程度合わせてもらえる仕事相手を見つけなければなりません。

そんな仕事をするために、「やるしかない」「なりふり構っていられない」というのが正直なところです。

ただ、必死に続けている英語学習ですが、もちろん、面白い要素があればできる限り取り入れ、常に楽しみながら学習する工夫はしています

きつくても英語学習を柔軟に楽しむ工夫

自分の成長を感じられる場を作る

達成感は英語学習に限らず、勉強や技術の習得において不可欠な要素です。私自身、少しずつ小さな達成感を得ながらモチベーションを維持してきました。具体例をいくつか紹介します。

言語交換で、ネイティブの友人相手にそれまで言えなかった表現が使えるようになる
かつて月に1回から2回、アメリカ人の友達とスカイプで言語交換をしていたのですが、その際、1回の通話で1つ覚えたての表現を1つ使うという目標を立てて実行していました。

例えば「Fair enough.というあいづちを使う」「Not that I know of.を使う」などです。本当に小さな積み重ねですが、自己肯定感は上がりました。

英語学習をしていないと出会えなかった人々に出会う
文通や言語交換などで、日本語が全くかほとんど話せない人と友達になれると、英語やっていて良かったと思えますし、もっと交流を楽しめるようになりたいと、がんばれます。単語や表現を覚えれば覚えるほど自由に会話できるようになるので、モチベーションになります。

友人に英語を教えて喜んでもらう
講師になる前、友人に自分の分かる範囲で英語を教え、喜んでもらいました。この時に英会話講師という仕事に興味を持ちました。

さらに、大きな達成感もありました。

英検などの資格試験に合格
資格試験は好きではないのですが、合格すると自信になりますし、達成感もあります。

海外の文化を紹介する英語講演会で通訳を務め、分かりやすかったと高評価を得る
地元の国際交流ボランティア団体の主催する集まりで、通訳に立候補し、英語→日本語の通訳を2回したことがあります。講演の前は緊張で手の平から滴るほどの汗をかきましたが、40名ほどいた出席者に分かりやすい訳だったと言ってもらえ、大いに自信になりましたし、人の役に立てた充足感も得ることができました。

ME /CFSマンガを英訳し、海外の人から感謝される
このブログとは別に、MEに関する闘病ブログにMEのマンガを英訳して載せているのですが、その英訳を読んだ海外の人にありがとうと言ってもらえ、英語を続けてきて本当に良かったと思えました。

▼闘病ブログ ME Life is Like...

こういった一つ一つの「英語やってて良かったな」という体験が、苦しい中でも学習を続けるエネルギー源になっています。

「人と比べない努力」をするより「自分と人を徹底的に比較分析」して自分を褒める!

オンライン英会話講師をしていたり、Twitterで英語学習コミュニティの人たちと交流をしていると、 フルタイムで仕事をして帰ってきてからさらに2時間勉強したり、忙しい育児と仕事の隙間時間を活用して勉強したりしている人がたくさんいます。

それに対し、平均して1日18時間は横になって過ごしている私が勉強に使える時間は、1週間に多くても数時間程度

勉強時間で比較してしまうと、落ち込みますし、焦ります

なので、そんな時は自分の置かれている状況も考慮に入れて比べてみます。

例えば、英検1級二次試験に向けた4ヶ月で机に向かって勉強できた時間はたったの13時間。それでも横になっている時間はPodcastを聴いたり、日本語のニュースにもなるべく触れるようにしてネタを集め、体をこれ以上ないほどに労りながら試験会場に行き、合格しました。

TESOLも4年2ヵ月の受講期間で、1分も課題に取り組めなかった時間が丸5ヶ月もありましたが、それでも最優秀(A)の成績で修了できました。

こうして自分のがんばりを見える化するためにも、毎日の勉強時間を日記の隅っこに記録しています

達成したことを自分に対しては、いつでも何度でも自慢して良いと思います。私は合格証書をコピーして、100円ショップで買った写真立てに入れて部屋に飾っています。目に入るたびにやる気が出ます。

「成長速度は人それぞれだから、自分と人を比べない方が良い」というのは確かに正論ですが、人と比較して自分を褒めてみるのもアリです

やる気を維持するには

さて続いて、健康であろうと病弱であろうと一番重要な「やる気」についてです。

やる気が出ない日は誰にでもありますが、慢性病持ちだと、やる気があっても体調が悪すぎて勉強ができない日もまた多くあります

また、やろうと思っていたやり方に体力が足りず、変更を余儀なくされる場合があります。例えば、シャドーイングをしようとしていたのに喉が痛かったり、全身のあまりのだるさに声が出せなかったり。

そんな時の、私の取り組み方を紹介します。

自分のやろうとしている方法ができなくても他の勉強法を試す

体調が原因で、自分のやりたい勉強法ができない時もたくさんあります (むしろそういう日の方が多いです)。そんな時は落ち込みますし、勉強をやめたくなることがあります。

しかし、体調が悪すぎてやむを得ず始めた勉強法で成果が出たこともあるので、自分のやろうとしている方法で勉強ができなくても他の方法をどんどん試すようにしています

具体例をあげると…

・講師になる前に一番の不安材料だった文法を勉強したかったのですが、3ヶ月ほど、猛烈なだるさとめまいに加え、咳が続いたことがありました。そのため、勉強もやり方を変えざるを得なくなりました。
❌理想の勉強法:文法を学ぶため机に向かって問題集を解く。
◎実際にできた勉強法:布団で横になり、海外のYouTube文法解説動画を大量に見て文法学習。
→英語の文法知識に加え、リスニング力と表現力が大幅にアップ!
また教科書のようにすぐ参照できる、信頼できる情報を発信しているYouTubeチャンネルをたくさん見つけられたことで、講師を始めてからレッスンで疑問が生まれた時に、不確かなポイントをすぐに確認できるようになりました。

▼その時のことをまとめた記事

・英検1級二次試験に向けて、4ヶ月の準備期間があったものの、MEの症状全てがひどく、座っていられないほどの日が多かったです。そこで一番やりたかったスピーチの練習は、ほとんどできませんでした。
❌理想の勉強法:オンライン英会話を受講してスピーチ練習。
◎実際にできた勉強法:横になってPodcast聴きまくり。
→英検1級スピーチのネタを大量に仕入れることができた。
また、英語で意見をいうタイミング、丁寧な言い返し、中断表現など、文化的側面も感じることができて、試験本番でのQ&Aで役に立ちました。

▼そのとき聴いていたPodcastについて

体調が悪くて思うように勉強ができない時は、自分の学習法を見直すチャンスと捉えて、「じゃあ、どんな風に勉強しようか?」という気持ちで取り組んでいます。

まとめ

「英語の勉強を続けていればバラ色の人生が待っているよ!楽しいよ!」というキラキラしたことを書ければ良かったのですが、実際、闘病しながらの勉強は本当に苦しいです。

それでも英語のおかげで在宅で働く道を選べたので、勉強を続けてきて良かったと、心から思います

この記事が、私と同じように慢性病を抱えながら、英語に限らず、職業スキルを身につけようとがんばっている人の役に立てば嬉しいです。

私自身、オンライン英会話講師としてもっと活躍したいですし、翻訳者としても働きたいと思っているので、これからも地道にがんばっていきます。

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